判例・通説は次の二点をその理由として掲げている。その一は、取消は無効 と異なり取消されるまでは一応効力が生じていることを前提とするから、取消の遡及効もこの 物権変動を前提としたうえで後からその変動が生じなかったことにする擬制であり、このよう な後から生ずる事実上の物権変動にも公示の原則が適用されるべきであるというものであり、 その二は、一度取消の意思表示をすればその後は登記をそのままにしておいても第三者に対抗 可能であるとするならば、公信の原則なきわが民法のもとでは、第三者の利益を害することが 甚だしく、しかも取消前には取消によって生ずる物権変動をあらかじめ登記せよと要求するの は不可能を強いるものであるが、取消後においては登記が可能であるからこれを要求してもな釣 んら差支えないというものである。